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居抜きで借りるか、スケルトンで借りるか

店舗の物件を探していると、「居抜き」と「スケルトン」の二つに出会います。前のお店の内装や設備が残っているのが居抜き、床・壁・天井が躯体のままで何もないのがスケルトンです。
居抜きなら内装にかかる費用を抑えられそうに見えますし、スケルトンなら思いどおりの店が作れそうに見えます。どちらも間違いではありません。ただ、借りるときの費用だけで決めると、あとで思わぬところに費用が出ることがあります。
ここでは工事会社の目から、二つの選び方を整理します。
居抜きが活きるのは、使い方が近いとき
居抜きの良さは、前のお店のものをそのまま使えることです。業種が同じで、間取りや設備の位置も近ければ、手を入れる範囲は小さくて済みます。工期も短くなります。
反対に、業種や使い方が違うと、残っている内装を壊すところから始まります。壊す費用と処分の費用がかかるうえ、壊してみて初めて分かることも出てきます。こうなると、スケルトンから作るのと変わらない工事になることもあります。
たとえば接骨院のように、施術室の床面積に決まりがある業態では、既存の間仕切りのままで内側の寸法が足りるかを確かめる必要があります。寸法が足りなければ、壁を動かす工事になります。図面上の寸法は壁の中心で測っていることが多いので、現地で内側を測って確かめるのが確実です。
見た目では分からない部分を確かめる
居抜きで気をつけたいのは、見えている内装より、見えていない部分です。給排水の配管、換気や排気の経路、電気の容量。見た目はきれいでも、新しいお店の使い方に足りないことがあります。
残っている設備が使えるかどうかは、現地で一つずつ確かめるしかありません。飲食店の場合の見方は、別のコラム「飲食店の居抜き物件、そのまま使える設備と、替えたほうがいい設備」で書いています。
スケルトンは自由な分、決めることが多い
スケルトンの良さは、間取りも設備の位置も、一から決められることです。お店の動線や使い方に合わせて作れるので、あとで「ここが使いにくい」となりにくくなります。
その分、決めることは多く、工事の範囲も広くなります。床、壁、天井、照明、空調、給排水と、すべてを作るからです。建具や設備の納期も含めて、工期には余裕を見ておく必要があります。
一方で、何もない状態から作るので、床・壁・天井の下地から自分たちで組めます。たとえば将来棚を付けたい壁に、あらかじめ下地を入れておく。施術室の広さを、内側の寸法で余裕を持って取る。こうした「あとで困らないための仕込み」を最初から入れられるのは、スケルトンならではです。
退去するときの条件まで含めて考える
見落としやすいのが、退去するときのことです。賃貸借契約では、退去時にどの状態で返すかが決められています。居抜きで借りた場合でも、退去時にはスケルトンに戻す条件が付いていることがあります。
そうなると、自分で作った内装だけでなく、前のお店から引き継いだ内装まで撤去することになりかねません。借りるときに安く済んでも、出るときに費用がかかるわけです。どこまでが前の借主の造作で、どこからが自分の工事なのか。入居のときの状態を写真で残しておくと、退去の話し合いで役に立ちます。契約の前に、退去時の条件を必ず確かめてください。
借りるときの費用、工事の費用、営業中の使い勝手、そして退去するときの費用。この全部を並べて見ると、どちらが合っているかが見えやすくなります。
物件を決める前に、一度見せてください
居抜きにするかスケルトンにするかは、物件を決める前に考えておきたいことです。けれども、残っている設備が使えるか、どこまで手を入れる必要があるかは、現地を見ないと分かりません。
当社は、物件が決まる前の段階でもご相談をお受けしています。候補の物件を一緒に見て、使えるもの、替えたほうがよいものをお伝えします。図面がなくてもかまいません。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
代表取締役社長 佐藤 繁(1級建築施工管理技士)



